入会林野研究
Online ISSN : 2434-3927
Print ISSN : 2186-036X
入会権と不動産登記
入会権の登記能力と入会地登記の多様性を中心に
青嶋 敏
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 41 巻 p. 16-26

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抄録

本稿では入会権と不動産登記をめぐる問題を、①入会権自体の登記(入会権登記)、②入会権の第三者対抗力、③入会権の客体である入会地の地盤所有権の登記(入会地登記)の三点に整理して検討した。民法263条の共有的入会権の実質は土地の共同所有権の一類型であり、民法294条の地役的入会権の実質は用益物権の一類型であるが、不動産登記法はこの2種類の入会権に登記能力を認めていない。しかし、入会地登記(土地登記簿の甲区の土地所有権の登記)は可能である。この入会地登記の登記名義は多様な形式で存在している。問題なのは、これらの多様な入会地登記名義がいずれも入会権の存在を正確に登記簿に反映していないことである。このように入会権は、民法上物権として規定されながら入会権を入会権として登記できないがゆえに、一方で物権としての権利保障が十分でないという問題を、他方で取引安全上の問題を抱えている。入会権と不動産登記の問題を解決する一つの有力な方法は入会権登記を立法上認めることである。本稿は最後に、入会権登記の立法の必要性について言及した。

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© 2021 本論文著者
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