入会林野研究
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最新号
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  • 高村 学人, 山下 詠子
    2021 年 41 巻 p. 2-15
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化法は、字名義地や所有権登記なき記名共有地等の変則型登記の解消を目指すものであり、入会林野の土地に甚大な影響を与える。本稿前半では、このインパクト推計のため3つの集計を行った。1)昭和49年全国入会慣行調査の集計から2割程度の入会地で所有権登記がないこと、2)2000年の世界農林業センサスの慣行共有事業体調査から字名義地が多く含まれるムラ・旧市区町村名義が入会林野の所有名義として最も割合が高く、全県に存在すること、3)全国の地方法務局で既に探索が開始された表題部所有者不明土地の公示情報から山林・原野等の地目の割合が25.8%を占めることがわかった。1966年に制定された入会林野近代化法は、変則型登記の解消も目的としていたが、期待された効果を発揮できず、その整備実績は低迷が続いているため、今後、表題部所有者不明土地適正化法の実施を通じて入会地の所有名義の変則解消が進む恐れがある。そのため、本稿後半では、地方法務局で表題部所有者不明土地適正化法を実施する主任登記官が入会権に関連しうる土地の探索調査や更正登記をどのような認識のもとで行っているのか、の全国アンケート調査の案を各県庁の入会林野近代化法担当者への調査、各市町村の認可地縁団体担当者への調査の案と併せて提示した。
  • 入会権の登記能力と入会地登記の多様性を中心に
    青嶋 敏
    2021 年 41 巻 p. 16-26
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では入会権と不動産登記をめぐる問題を、①入会権自体の登記(入会権登記)、②入会権の第三者対抗力、③入会権の客体である入会地の地盤所有権の登記(入会地登記)の三点に整理して検討した。民法263条の共有的入会権の実質は土地の共同所有権の一類型であり、民法294条の地役的入会権の実質は用益物権の一類型であるが、不動産登記法はこの2種類の入会権に登記能力を認めていない。しかし、入会地登記(土地登記簿の甲区の土地所有権の登記)は可能である。この入会地登記の登記名義は多様な形式で存在している。問題なのは、これらの多様な入会地登記名義がいずれも入会権の存在を正確に登記簿に反映していないことである。このように入会権は、民法上物権として規定されながら入会権を入会権として登記できないがゆえに、一方で物権としての権利保障が十分でないという問題を、他方で取引安全上の問題を抱えている。入会権と不動産登記の問題を解決する一つの有力な方法は入会権登記を立法上認めることである。本稿は最後に、入会権登記の立法の必要性について言及した。
  • 牧田 勲
    2021 年 41 巻 p. 27-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、字と大字の歴史的関係、明治期の行政村とくに市制町村制下で大字として把握された「江戸時代の村」の有り様、および大字と入会権との関係を、段階的に整理し、小考したものである。江戸時代以前には、大字は存在せず、字のみが存在し、それは村内の小区画を意味する公簿上の用語であった。明治になると、地租改正作業・土地測量を通じて字や村の境界が確定され、一部には字や村などの分割・合併・新名称の付与なども行われた。新たに広域の行政区画が生まれると、その内部に旧来の村が存続し、入会集団としても継続していたといえる。明治21年市制町村制が成立する。その際旧来の村々の大規模合併が行われ、新たな市町村が生まれたが、そうした市町村内部に存在したそれ以前の村々は、「大字」と呼ばれるようになった。大字は、江戸時代の村がそのまま大字となったところや、明治初期の合併によって江戸時代の数か村のまとまりが大字となっているところもあり、地域によって様々である。ただし、近世の村が大字となったとしても、大字それ自体が入会集団であったとは言えない。このことを三重県鳥羽市菅島の事例によって説明した。
  • 総有権の確認および移転登記等を請求する訴訟をめぐって
    鈴木 龍也
    2021 年 41 巻 p. 31-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    入会財産たる不動産について旧入会代表者などの名義による所有権の登記がされている場合に、入会団体と登記名義人の相続人などとの間で入会権の存否などをめぐる紛争が生じ訴訟となることは珍しくない。そのような訴訟を入会団体側から提起するには入会団体構成員全員が原告とならなければならないとされるなど訴訟提起のハードルは非常に高いものであった。またそのような訴訟において登記名義人に対して誰の名義への登記の移転を求めていけばいいのかも不明確であった。ところが近年においては入会団体が権利能力なき社団にあたる場合には権利能力なき社団について形成されてきた法理を「適用」して、社団代表者や社団自身が原告となって社団の代表者名義への移転登記を求めることを認めるなど、入会権(総有権)の確認や入会団体側に登記を戻すことを請求する訴訟の提起を容易化する判例法理が形成されてきている。本報告では重要な判決の検討によりそのような判例法理の内容そしてそれが基礎としている考え方を明らかにするとともに、そのような判例法理の意義および問題点について若干の批判的な検討を試みる。
  • 高村学人氏の問題提起(『入会林野研究』第40号)に接して
    矢野 達雄
    2021 年 41 巻 p. 60-63
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 大塚 生美
    2021 年 41 巻 p. 64-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 幕府評定所の入会裁判(4)
    後藤 正人
    2021 年 41 巻 p. 69-72
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    幕府評定所が裁許し、現千葉県鴨川市の村同士が争った入会争論では、大幡村は相手方の北風原村所持の北山へ入会慣行を有し、且つ上総国の小糸山へ入会利用料を払って入会を行っており、北風原村が大幡村から北山へ行く両村の山境に堀を切り開いて土手を作り、大幡村から小糸山に行く道筋にも堀を築いて、両山への道を塞いで入会が出来ないようにしたと訴え、北山への入会権行使に付、領主へ提出の村差出帳に入会の趣旨が書かれている事を挙げ、この二つの入会妨害の排除を訴えた。北風原村は村差出帳について争い、自村に係わる取替證文が自村に存在しない事は大幡村が偽りを述べていると主張し、大幡村の入会権を否定し、大幡村の入会を排除するために大幡村から北山と小糸山への道を塞いだという。評定所は村差出帳を吟味して確認し、更に北山の入会権を有する他の村々を呼び出して吟味し、大幡村の北山への入会権を再確認した。依って評定所は大幡村が北山で秣・柴草を採取する事を認め、成木を伐採してはならない事などを命じ、北風原村が行った二つの堀切の取払いを裁決した。この裁決に付き、両当事者は取替證文を取交し、評定所へも差し上げた。
  • 青嶋 敏
    2021 年 41 巻 p. 73-82
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、『中日本入会林野研究会会報』第30号(2010年3月発行)およびその後継誌である『入会林野研究』第31号(2011年3月発行)から第40号(2020年3月発行)までに掲載された論考をその掲載区分である「研究報告」、「基調報告」、「事例報告」、「コメント」および「投稿」ごとに紹介することによって、中日本入会林野研究会の最近約10年間の研究動向を振り返ったものである。連載第一回では掲載区分「コメント」までを取り上げた。
  • ガバナンス視点の有効性
    川村 誠
    2021 年 41 巻 p. 83-93
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    入会林野研究に残された課題は多いが、「村々入会」のような、他村との関係において、いかなるガバナンスが働くのかの検討は未だ十分ではない。一村内における内向きのガバナンスだけでは、「村々入会」で生じる問題は解決されない。「村々入会」について分かる一級の史料は、複数の村々が関わる「山論」である。「山論」に関わる村々にとって、相手方の村々との関係だけでなく、時には領主の統治にも関わらざるを得ない。信州の伊那地方は、江戸時代、「御林」から江戸向けの榑木を生産する村々と、それを支援する「夫食米」を供給する平場の村々を「榑木成村」として組み合わせた統治が行われていた。「榑木成村」を地元とする「村々入会」について、入会林野のガバナンスを検討した。その結果、領主支配におけるガバナンス及び村内でのガバナンスとも異なる、「村々入会」における相対的に独自な「領域支配」のガバナンスを認めることが出来た。
  • 松下 幸司, 田村 和也
    2021 年 41 巻 p. 94-118
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    全国の生産森林組合の森林施業、素材生産、林産物販売に関する近年の動向を数量的に明らかにするため、2005年、2010年、2015年の農林業センサスの個票について組み替え集計を行った。法人化区分「森林組合」に含まれる経営体から生産森林組合を分離し集計を行った。生産森林組合の数は、2005年から2010年にかけて増加したが、2015年には減少した。過去5年間の森林施業の実施率をみると、植林、下刈、切捨間伐は2005年、2010年、2015年と減少傾向を示したが、利用間伐と主伐については2010年から2015年にかけて上昇した。2015年の利用間伐と主伐の実施率を分析したところ、地域により保有山林面積との関係に差がみられた。過去1年間に保有山林で自ら伐採した素材生産量を記入した生産森林組合の比率をみると、6.1%(2005年)、7.2%(2010年)、8.5%(2015年)と上昇傾向にあるものの、素材生産量は減少傾向であった。過去1年間に何らかの林産物を販売した生産森林組合の比率は11.9%(2005年)、17.6%(2010年)、22.9%(2015年)と上昇傾向にあった。センサス調査において林業の外形条件を満たす生産森林組合に占める比率という点から、利用間伐・主伐、素材生産、林産物販売に増加傾向を見いだすことができた。
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