全国の生産森林組合の森林施業、素材生産、林産物販売に関する近年の動向を数量的に明らかにするため、2005年、2010年、2015年の農林業センサスの個票について組み替え集計を行った。法人化区分「森林組合」に含まれる経営体から生産森林組合を分離し集計を行った。生産森林組合の数は、2005年から2010年にかけて増加したが、2015年には減少した。過去5年間の森林施業の実施率をみると、植林、下刈、切捨間伐は2005年、2010年、2015年と減少傾向を示したが、利用間伐と主伐については2010年から2015年にかけて上昇した。2015年の利用間伐と主伐の実施率を分析したところ、地域により保有山林面積との関係に差がみられた。過去1年間に保有山林で自ら伐採した素材生産量を記入した生産森林組合の比率をみると、6.1%(2005年)、7.2%(2010年)、8.5%(2015年)と上昇傾向にあるものの、素材生産量は減少傾向であった。過去1年間に何らかの林産物を販売した生産森林組合の比率は11.9%(2005年)、17.6%(2010年)、22.9%(2015年)と上昇傾向にあった。センサス調査において林業の外形条件を満たす生産森林組合に占める比率という点から、利用間伐・主伐、素材生産、林産物販売に増加傾向を見いだすことができた。
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