抄録
本報告は、入会林野の過少利用問題について、コモンズ研究の立場から論じるものである。コモンズという用語が「コモンズの悲劇」論と共に広く知られるようになったことからもわかる通り、コモンズ研究では、長らく資源の過剰利用問題を扱ってきた。しかし近年、世界各地のコモンズでは、過少利用の問題が報告されるようになっている。日本の入会林野もその例外ではない。では、なぜ資源の過少利用が起こるのであろうか。また、過少利用がなぜ問題だと言えるのであろうか。この問題の診断は、今後の入会林野のあるべき姿を考える上でも重要なものであると言えよう。過少利用の要因については、すでに有力な研究者からアンチ・コモンズ仮説が主張されている。本報告ではそれに対して、スケール・ミスマッチ仮説を提示し、議論を喚起したい。