入会林野研究
Online ISSN : 2434-3927
Print ISSN : 2186-036X
「龍谷の森」の保全と教育研究への活用
宮浦 富保 林 珠乃
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 45 巻 p. 22-27

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抄録
「龍谷の森」は、龍谷大学瀬田学舎に隣接する約38haの森林であり、かつて里山として利用されていたが、長期間管理されずにいた。1995年に龍谷大学がこの森を購入し、その後教育・研究の場として利用されるようになった。多くの実習や調査・研究が行われ、2023年度までに175件の卒業研究、16件の修士研究、1件の博士研究が実施された。2004年には「里山学・地域共生学オープンリサーチセンター」が設立され、里山に関する総合的な研究が進められた。この研究組織は、自然科学だけでなく社会人文科学の観点からも研究を行い、地域の生物多様性や里山環境の持続的利用に関する知見を深めてきた。森林観測タワーや森ラボ、バイオトイレなどの施設が森の中に設置され、環境教育や研究活動に利用されている。「龍谷の森」では市民も参加しての里山保全の活動が継続的に行われてきたが、若い世代の参加促進と技術や知見の継承が課題となっている。「龍谷の森」は、2015年には「生物多様性を保全する上で重要な日本の里地里山」に、2024年には「自然共生サイト」に環境省から認定された。
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© 2025 本論文著者
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