本研究では、動的計画法による最適林分経営モデルDP-KYSSを用いて最適間伐計画における炭素吸収量について分析を行った。分析の結果、間伐による伐採木を炭素吸収量の一部として捉えた場合、間伐・主伐による総収益の現在価値を最大化することにより得られる最適間伐計画と、計画期間内で吸収される炭素量の最大化により得られる最適間伐計画のそれぞれから算出される炭素吸収量には3%程度の差しか生じないことが分かった。この結果から、総収益の現在価値最大化による最適間伐計画の基でも十分な炭素の吸収が達成できることが期待できる。また、間伐による伐採木を炭素の排出と見なした場合、炭素吸収量だけの最大化の基では間伐を施さないことが最適な計画として導かれることが分かった。