2005 年 4 巻 p. 93-108
近年、地球規模の環境問題に対応するために森林資源や集水域の学際研究に期待が高まり、研究成果の社会への還元が急務となりつつある。本研究では、ヒトの活動の集積と自然がもつ包容力の定量的な関係をはかることを目的として、集水域を系とした環境容量の概念を設定し、数理モデルと地理情報システム(GIS)により、3大都市圏における流域環境容量を試算した。また、集水域の階層構造や、環境要素が持つ環境性と資源性の関連や変動構造の解明を進め、学際的な流域管理モデルを試行した。環境容量の試算モデルは、CO2固定容量、クーリング容量、生活容量、水資源容量、木材資源容量の5指標を設定し、環境情報と科学知識の統合により構築した。これらの試みは新たな環境計画を支援する情報やシステム構築の一助になるものと考えられる。