世界が直面する環境問題を解決するための資源循環型社会の構築に向けて日本の「木の文化」は重要な示唆を与えるものであり,木造建造物文化財はそのシンボルとして維持するべきである.また,これを支えている日本の森林についても適切な評価を与えるべきである.こうした文化財を維持するための資源の需要量と供給量について分析した結果,需要の発生予測に幅があること,高品位材を安定的に供給するための森林の育成と一般社会における木材の安定需要が必要であることと,資材確保にともなうリスクを分散した供給システムの確立が必要であることが明らかになった.