日本理科教育学会研究紀要
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多岐探究学習による理科指導法の研究(その2) ―中学校「動物の種類とつくり」―
入江 隆明熊代 賢治
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1979 年 19 巻 2 号 p. 17-22

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抄録

中学校理科の主要なねらいは,身の回りのものを科学的に探究する能カ・態度を育成することにある。そのためには,基礎的・基本的科学概念を理解させ,科学的探究方法を習得させるのみならず,生徒自身による意欲的・主体的な探究活動を数多く経験させることが必要である。中学校理科第 2分野の初めに位置づけられている「動物の種類とつくり」の学習においては,動物を環境との係わりあいをもってとらえるとともに,探究活動の過程において発見の喜びをたびたび経験させることが重要である。多岐探究学習はこのような経験をさせるのに最も効果的な指導法の一つである。本研究においては, 「動物の種類とつくり」の多岐探究学習の指導計画をたて,授業を行なって検討し,次の結果を得た。1) 生徒は野外活動において, 自分自身で多くの問題を見つけることができ,興味をもって意欲的にそれらの問題を探究した。2)動物のからだのつくりと運動の様子についてはどの実験班も自ら問題を見つけて調べたが,動物と環境との関係,食物のとり方及び殖え方については,学習の初めの段階から調べた実験班は認められなかった。しかし,中間発表会を設けて助言を与えた後には,指導を計画していた学習内容のすべてを生徒に主体的に学習させることができた。

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© 1979 一般社団法人日本理科教育学会
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