日本理科教育学会研究紀要
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観察能力の発達に関する一考察 ―アジサイの葉の観察を通して―
高橋 昭善
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1979 年 20 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

新しい指導要領理科はその目標として「観察・実験などを通して,自然を調べる能力と態度を育てるとともに……」とあり,観察する意味の大切さを最初にうたっている。これは何も今次の指導要領だけでなく前回においても記されている。このようなことからも「観察」は理科教育における第一義的なもの――すべての授業は観察から始まる――と解される。ところでこの観察する力を児童がどの程度もち,それがどのような形で進んでいるのかを教師は把握しておかなければならない。このような意味において1枚のアジサイの葉を例に児童の姿をとらえるべく調査研究を試みた。調査の対象は小学校3年生から6年生までとして1・2年生は類推するにとどめた。その結果次のようなことがわかった。(1) 観察能力は,それぞれの学年ごとよりも,低学年,中学年,高学年というまとまりで発達していくこと。(2) 発達は3つの過程を経ること。その過程とは,活力の定着期,吸収期,そして飛躍活動期であること。(3) 5年生から6年生にかけて観察力が量から質へと変化すること。などである。

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© 1979 一般社団法人日本理科教育学会
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