小学校第 6学年「ほのお」の単元で扱われているろうそくの炎の構造上の区分(内炎・外炎)が理論的に不適切であることは,すでに指摘されているところである。しかし,従来の理科教育においては,炎の構造を容易に観察できる装置がなく,その結果,誤った認識がなされてきたものと思われる。そこで筆者らは,燃焼学の専門家が用いている装置を参考にし,次の観点により改良を加え,簡易火炎構造観察槽を試作した。(1) 身近で加工し易く,しかも安価な原材料を用いる。(2) 誰にでも組み立て可能な構造にする。(3) 誰にでも容易に操作できるものにする。本装置を用いることにより,空気を予混合しない場合の炎,空気を予混合した場合の炎の横断面の構造が容易に観察できる。それと同時に,ろうそくのような拡散火炎には内炎が存在しないことも視覚的に容易に観察される。