日本理科教育学会研究紀要
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アメリカにおける理科教育の現状と動向(5) ―物理科学教育を中心として―
福岡 敏行
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1983 年 24 巻 1 号 p. 75-82

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抄録

第1, 2, 3, 4報で紹介したProject Synthesisの中の「物理科学グループ」の研究成果を紹介する。 1956年にPSSC物理で始まった理科教育改革運動以来20年を経過してきたが,物理科学教育においてもさまざまな問題が存在する。彼らは,これに対して次の4つの提言を行っている。 1.教育目標の拡大 物理科学教育の目標は,従来から重要視されてきている基本的科学知識の目標の上に,個人の必要性,社会の要請,職業教育の目標が付け加えられるべきである。2.新カリキュラム開発の必要性 すべての生徒がすべてのレベルにおいて,物理科学の内容や探究の過程を幅広く体験し,個人の必要性,社会の要請,職業教育の目標群に適応することができる新しいカリキュラムを開発すべきである。3.教員蓑成と現職教育の改革 上記の目標群を強調した教員養成や現職教育のカリキュラムが開発され,同時にこのカリキュラムが物理科学において応用,分析,総括.評価の場として使われる方法も含むべきである。4.学習評価の改革の必要性 上記の目標群に関する学習評価は,幅広い地域レベルの到達度テストや評価計画に導入されるべきである。また.理科グループ等によるテスト問題の開発・たくわえ•利用等がすすめられるべきである。

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© 1983 一般社団法人日本理科教育学会
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