日本理科教育学会研究紀要
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アメリカにおける障害児に対する理科教育の動向
阿部 治中山 和彦
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1983 年 24 巻 2 号 p. 37-45

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抄録

障害児に対する理科教育はアメリカが進んでいる。アメリカの障害児に対する理科教育の動向を文献調査から明らかにし,わが国での障害児に対する理科教育振興に参考となる事項を提示した。本論文では,(1) ERIC資料を用いた理科教育研究の動向,(2)理科教育関係団体の障害児への取り組み,(3)各障害児に対する理科教育の現状,(4)教師養成,について報告し,アメリカでの障害児に対する理科教育の現状を以下のように総括した。アメリカでの障害児に対する理科教育の研究は,健常児に比べまだ少ないが,全障害児教育法の制定(1975)を契機に増加しており,その背景には統合教育の流れがある。現状は以下のようにまとめることができる。(1) 視覚障害や聴覚障害などの障害を有する科学者が活躍している。(2)全障害児教育法などの法律に強い影響を受け,法律に裏付けられた財政援助がある。(3) AAAS, NSTAなどの理科教育関係団体が障害児対策に取り組んでいる。(4) 視覚障害や聴覚障害に関する初等教育段階から高等教育段階までの教材開発やカリキュラム開発が行われている。(5) SCISやBSCSが,健常児用カリキュラム開発の延長として障害児用カリキュラム開発を行っている。(6) 障害児に対する理科教師養成のプログラムがある。

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© 1983 一般社団法人日本理科教育学会
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