1985 年 26 巻 2 号 p. 79-88
学習者一人ひとりの認知能力に「適合」させて学習指導を行うための条件を探り、この条件に合致した理解カリキュラム評価の方法論について検討した。その結果、学習者一人ひとりの認知能力に「適合」した学習とは、学習において必要とされる認知能力と学習者のそれとが一致した時に成立するということが明らかになった。更に、この考え方を具現化するための理科カリキュラム評価の方法論として、中学校第一分野化学領域を例とした、科学概念一認知能カマトリックスを作製した。これを用いることによって、学習者一人ひとりの現在の科学概念及び認知能力の発達段階を要易に固定できることが明らかになった。この方法論が、学習指導計画の際に適用されるならば、上述の考え方が具現化された学習が成立すると思われる。