植物色素を用いた染色は、その過程で起こる顕著な色の変化に児童生徒は興味を示すので、物質に親しませるためのよい教材となる。1. 藍(タデアイ、Polygonum tinctorium Lour.)、くちなし(クチナシ、 Gardenia jasminoides Ellis)およびきはだ(キハダ、 Phellodendron amurense Rupr.)を用いて、染色する方法について述べた。2.これらの染色布を長時間太陽光にさらしたり、太陽光にさらしては石けんで水洗いをくり返すと、次第に褪せてくる。そして、後者の方がより褪せた。藍染色布は、くちなしおよびきはだ染色布にくらべて、耐光性ならびに耐水性が大きかった。3.くちなしを用いた染色では、アルミ媒染と非媒染において色、耐光性、耐水性に差が認められず、媒染の効果はみられなかった。4.藍とくちなしまたはきはだを用いて、天然の色素では得ら和ない緑色に染める方法について述べた。5.これらの緑色布と天然の緑色色素である葉緑素、合成緑色染料であるマラカイトグリーンで染めた緑色布の反射スペクトルを比較し、緑色について考察した。6.くちなし一藍およびきはだ一藍で染めた二種類の緑色布を長時間太陽光にさらしたり、太陽光にさらしては石けんで水洗いをくり返すと、緑色布は次第に青色に変化した。