1988 年 28 巻 3 号 p. 47-54
第二次大戦後、日本の理科教育界は絶えずアメリカの影響を受け続けてきた。本研究では、アメリカの中等教育の科学(sience)及び地球科学(earth science)の教科書と日本の中学校・高等学校の理科及び地学の教科書とを比較し、地質学的な内容を中心に教材の導入・展開の違いや出現する用語を検討した。その結果、日本の地学教育はアメリカの科学教育の現代化運動の影響を強く受けながらも、日本の教育制度や独特の自然環境などの点でESCPなどのカリキュラムとは異なる体系化の道をたどってきたことを明らかにした。また、これまでの日本の中学校から高等学校の地学教育における内容の分散や時期の中断は、将来、検討されるべき課題であることを指摘した。