1988 年 28 巻 3 号 p. 63-72
この研究は、日本およびフィリピンにおける小学校教師の環境的態度の特質を明らかにし、教師教育のプログラムを開発する手始めとして教師の環境的態度に影響する諸要因を解明しようとして実施された。調査対象の範囲内ではあるがこの研究によって明らかにされたことは次のとおりである。(1)人口統計学的要因(年齢別、性別、地域別)からみて有意差がみられたのは日本の教師の環境に対する行動的かかわりのみであった。(2)フィリピンの教師においては年齢のみがかれらの環境的な情意や行動的かかわりに影響を与えている。(3)日本の教師が抱く現境に対する情意はかれらの行動に影響を与えている。(4)日本の教師の環境に関する知識は態度の情意的要素とも行動的要素とも関連がみられなかった。(5)フィリピンの教師の情意は環境への行動的かかわりに影響を与え、知識は環境への言語的かかわりに影響を与えていることがわかった。(6)日本の教師は環境に対する知識と情意の面でフィリピンの教師よりもまさり、フィリピンの教師は環境に対する行動的かかわりの面で日本の教師よりもまさっていることがわかった。