日本理科教育学会研究紀要
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小中学生の身近な動植物とのふれ合いと生物名の理解度に関する研究(2)一生物の理解度に及ぼす直接経験の影響について一
小林 辰至前田 保夫
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1988 年 29 巻 2 号 p. 55-60

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抄録

身近な動植物(24種類)に対する直接経験(つかまえたりさわったりした経験)をもつ群ともたない群とで、生物名の理解度(生物の標準名を、その生息環境と関連づけて理解している者の割合)に違いがあるかどうかを中学生について検討した。その結果、次の事が明らかになった。 1) 直接経験をもつ群は、もたない群の理解度を有意に上回り、生物名を生息環境と関連づけて理解している割合の高いことが明らかになった。 2) 身近な動植物に対する直接経験の程度は、種類によって高い、中くらい、低いの3つの型に分けられた。 3) 動物では、直接経験の程度の高いものの多くが中程度以上の理解度を示したのに対して、植物では直接経験の程度の高さに比べ、理解度はかなり低い傾向にあった。 4) 身近な動植物は、手軽に直接経験をさせることが可能であることから、自然のしくみを総合的に正しく理解させるなと理科教育の目標を達成させる上で極めて有効な教材になりうるものと考えられる。

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© 1988 一般社団法人日本理科教育学会
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