電気抵抗の温度依存性に関しては、高校の段階では電子論の考えを用いて定性的に説明される。またこの電子論の考えには、前提として物質の構成要素や熱の本性に関する基本的な概念も含まれている。これらのことを考慮すれば、抵抗の温度係数の測定実験を高校段階で実施することは有意義であると考える。上記のようなことから今回、授業時間内で実施可能な抵抗の温度係数の測定法を新たに考案した。この測定法は、次のような特長を持っている。(1) 金属の電気抵抗とその温度が、比例関係にあることを実験データにより直接示すことができる。(2) 抵抗の温度係数αは、簡単な式を用いて算出できる。(3) 測定で得られるαの値は、文献値と比較して、2~3%程度の相対誤差の範囲内にある。(4) 測定に要する時間は約20分(30~40Kの加熱に相当)程度であり、授業時問内で十分実験可能である。(5) 電気配線としては、測定装置に試料と直流電圧計を接続するだけでよく、装置の測定操作も容易である。