現在の「不登校」「教育困難校での授業不成立」などの問題は,学校知が子ども達にとって“リアリティー”を持つものとなっていないことが原因の一つと考えられる。学校知をリアリティーの伴ったものとするためには,子どもたちにとってリアリティーのある日常知とのリンクを考えなければならない。子ども達が知識を構成する源泉は「直接経験」「日常経験」「学校知」であると分析でき,そのそれぞれは一種のモザイクに似た知識構造を形作っている。そして,それぞれの知識源泉が「情意的結びつき」によってリンクされたとき,学校知はリアリティーを獲得し,子ども達はアイデンテイティーを確立する。