日本理科教育学会研究紀要
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子どもが抱いている植物の成長要因に関する実証的研究
松森 靖夫堀 哲夫城内 優子
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1995 年 36 巻 2 号 p. 33-44

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抄録

小学校理科において,植物の成長概念が重視されているにも関わらず,本概念に関する子どもの認識研究は極めて少ないようである。そこで,本稿では小4児童が植物の成長についてどのような理解状態にあるのか,その実態を調査した。その結果,主に次の2点が明らかになった。1. 子どもが植物成長を同定するための指標として, A.植物体内, B.植物体外, C. 時間,D.栽培活動, E. アナロジー, F.実証性,の6つがあげられる。2. 子どもの植物の成長概念には,光合成における有機物の生成概念と,土中の無機栄養の概念とが欠落している。また,これらの結果をふまえて,子どもの植物成長の概念を科学的な概念へ修正するために,光合成による有機物の生成,及び土からの無機栄養の摂取とに関する理解を重視した具体的方策についても提案した。

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© 1995 一般社団法人日本理科教育学会
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