日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
抗アレルギー薬塩酸オロパタジン(アレロック錠®)の薬理作用, 薬物動態および臨床成績
大森 健守池村 俊秀小林 弘幸向山 明道
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2001 年 118 巻 1 号 p. 51-58

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抄録
オロパタジンは分子内にカルボン酸とアミン構造を有するジベンゾオキセピン誘導体で協和発酵工業(株)において創製された新規抗アレルギー薬である. 本薬は選択的なヒスタミンH1受容体拮抗作用とともに, ヒト多形核白血球や好酸球の脂質メディエーター産生·遊離に対する抑制作用, モルモット主気管支筋標本収縮反応に対するタキキニン遊離抑制を介しての抑制作用, 好酸球浸潤抑制作用などの幅広い薬理作用を示した. 経口投与時, 実験的アレルギー性鼻炎や受身皮膚アナフィラキシーなどの疾患モデルにおいて抑制作用を示した. 第I相試験において, 健常成人にオロパタジンを経口投与した場合, その経口吸収は速やかで良好であり, 投与後約1時間に最高濃度に達した後, 二相性に消失した, 尿中に未変化体として58%以上排泄され, 消失に占める代謝の寄与は少なかった. 臨床治験において慢性蕁麻疹, 通年性アレルギー性鼻炎および湿疹·皮膚炎, 痒疹, 皮膚そう痒症, 尋常性乾癬, 多形滲出性紅斑などの皮膚疾患に伴うそう痒にオロパタジンは効能効果を示し, これら疾患を対象として2000年12月に厚生労働省から製造承認を受けた. 商品名はアレロック錠である. 臨床上の特徴は慢性蕁麻疹に高い有効性を示した点と, これまでの抗アレルギー薬では効果が弱いとされている通年性アレルギー性鼻炎の鼻閉症状に高い効果を示した点にあった.
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© 2001 公益社団法人 日本薬理学会
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