日本薬理学雑誌
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総説
骨代謝とストレスタンパク質27(heat shock protein 27: HSP27)
小澤 修徳田 治彦
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2002 年 119 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

細胞に各種のストレスを負荷するとストレスタンパク質(heat shock protein: HSP)と呼ばれる一群のタンパク質が誘導され,細胞機能の制御に関与すると考えられている.HSPはその分子量から高分子量HSPと15kDa-30kDaの低分子量HSPに大別される.HSP110,HSP90,HSP70などの高分子量HSPにくらべ,HSP27およびαBクリスタリンなどの低分子量HSPの機能は未だ判然としていない.本稿では,骨代謝の中心的役割を担う骨芽細胞における,様々な生理的骨代謝調節因子によるHSP27の誘導機序およびその制御機構について,私共の最近の知見を中心に概説する.非刺激時の骨芽細胞様MC3T3-E1細胞では,HSP27は極めて低いレベルでしか検出されない.亜砒酸ナトリウムによる化学ストレスはアラキドン酸カスケードの活性化と共役してHSP27の誘導を促進する.プロテインキナーゼC(PKC)はこの化学ストレスによるHSP27誘導を抑制的に制御する.一方,プロスタグランジン(PG)F,エンドセリン-1(ET-1),PGD2および塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor: bFGF)はPKCの活性化を介してHSP27誘導を促進する.また,PGFによるHSP27誘導促進作用はp44/p42 mitogen-activated protein(MAP)キナーゼの活性化を介しているが,ET-1およびスフィンゴシン-1-リン酸によるHSP27誘導はp38MAPキナーゼの活性化に依存する.以上のように,骨芽細胞においては熱および化学ストレスのみならず種々の生理活性物質によってHSP27が誘導され,細胞内伝達物質としてPKCおよびMAPキナーゼがHSP27の誘導を巧緻に制御していると考えられる.

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© 2002 公益社団法人 日本薬理学会
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