日本薬理学雑誌
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教育講演「薬理学教育とコアカリキュラム」
薬理学教育2010年に向けて
−新しい知識,新しい教材,新しい方針−
Ian Hughes
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2003 年 122 巻 5 号 p. 411-418

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抄録
薬理学教育は多様な圧力を受け,変化を余儀なくされている.それらの圧力とは,薬理学の学問体系としての変化,政府から,専門機関から,学生側から,教育体系や教育機会の変化から,教官側から,動物愛護や倫理的考慮から,企業就職者から,また高等教育機関からのものが挙げられる.これらの変化に対応するには,大学の薬理学者の知識,技能,教育態度の変化とともに,教育する方法や自習能力の向上も必要になる.薬理学の教育課程はこの変化した環境のもとで提供され,学生が変化した学問体系の中で学べるように準備されなければならないし,また薬理学と関係のない領域に就職する学生にも適切であることが求められる.得るべきものは,カリキュラム,問題志向的学習,シミュレーションプログラムを用いた実習,学生間評価,インターネットの汎用,情報工学,双方向性コンピューター学習,視聴覚教育環境,統合医学教育課程などが中心になる.これらの必要な変革を有効に行う最も大事な戦略は,世界的な枠組みでの薬理学教育者間の協力と,現在の薬理学教育者の間に,明日の大学人は彼らが働かなくてはならない変革した環境に充分適応する準備が出来ていると,一般的な認識を持たせることである.
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© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
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