日本薬理学雑誌
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ミニ総説号「消化管自動運動の制御機構」
Cell cluster標本を用いた腸管自動性メカニズムの研究
中山 晋介大矢 進今泉 祐治
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2004 年 123 巻 3 号 p. 149-154

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抄録
胃腸管運動はslow waveといわわれるペースメーカー脱分極によって駆動される.この自発性活動のメカニズムを研究するため,私たちは細胞小塊(cell cluster)標本を開発した.私たちは,マウス小腸平滑筋層を酵素処理することによってcell clusterを作成し,数日間培養した.この標本は,平滑筋,壁内神経とc-Kit陽性細胞(Cajalの間質細胞:ICC)を含有し,自発性収縮·電気活動を保存している.そのペースメーカー電流の大きな特長は,ジハイドロピリジン(DHP)Ca拮抗薬抵抗性である.そのDHP Ca拮抗薬であるニフェジピン存在下で,cell cluster標本のc-Kit陽性細胞において自発性細胞内Caオシレーションが観察された.このICC細胞内Caオシレーションは,InsP3受容体,TRP familyチャネルの抑制薬だけでなく,ryanodine受容体へ作用する薬物によっても停止する.その結果から,細胞内Ca遊離チャネルと細胞外からのCa流入経路が協調することによって,胃腸管自発性活動を作り出すと考えられる.
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© 2004 公益社団法人 日本薬理学会
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