2004 年 123 巻 3 号 p. 189-196
プロテインキナーゼC(PKC)は様々な刺激に応答して細胞内局在を変化させる.その様式はサブタイプにより異なるだけでなく,同一サブタイプであっても刺激の種類によって様々である.その結果,もたらされる細胞応答も異なることが明らかになっている.これらの事実は,刺激に応じて細胞内の様々な部位に移動し特異的基質をリン酸化する機構(ターゲティング)こそが,PKCの多岐にわたる機能において重要であることを示唆している.また,PKCの活性を調節しうるジアシルグリセロールキナーゼもサブタイプ特異的に細胞内局在を変化させること,機能的に連関した両酵素のターゲティングが,直接的な相互作用により実に巧妙に調節されていることも明らかにされた.本稿では,これまでにGFPを用いたライブイメージングにより明らかになったPKCおよびDGKのターゲティングの多様性とその分子機序について紹介する.