日本薬理学雑誌
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原著
麻酔下イヌでのアセチルコリンによる膀胱収縮に対するオキシブチニンの代謝物である4-ethylamino-2-butynyl(2-cyclohexyl-2-phenyl) glycolate(DEOB)の作用
内田 勝幸中島 学小金井 恵山地 健人
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2004 年 123 巻 5 号 p. 363-371

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抄録
オキシブチニンは神経因性膀胱治療薬として広く臨床で用いられており,in vitroの検討で抗コリン作用を持つことが明らかになっている.オキシブチニンの代謝物である4-ethylamino-2-butynyl(2-cyclohexyl-2-phenyl) glycolate(N-desethyloxybutynin: DEOB)も同様な作用を持つことが知られているが,in situでの効果については明らかでない.そこで,麻酔下イヌを用いアセチルコリンによる膀胱収縮に対する作用についてオキシブチニンの作用と比較検討した.アセチルコリンの動脈内投与は用量依存的に(3~300 µg/body)膀胱内圧を上昇させた.DEOBの静脈内前投与はアセチルコリンによる膀胱内圧の上昇を用量依存的に抑制した.オキシブチニンも同様な抑制作用を示した.各用量における用量反応曲線から5 cmH2Oの膀胱内圧上昇を引き起こすアセチルコリン濃度を算出した.SchildプロットからDEOBおよびオキシブチニンの傾きを求めたところそれぞれ0.78(95%信頼区間0.45~1.11)および1.49(0.91~2.08)であった.また,アセチルコリンの用量反応曲線を2倍だけ高濃度側に移動させるのに必要なDEOBおよびオキシブチニンの用量はそれぞれ6.4 µg/kg(95%信頼区間1.7~12.8 µg/kg)および13.9 µg/kg(6.3~24.5 µg/kg)であった.以上のことからDEOBはオキシブチニンと同様に麻酔下イヌの膀胱においても抗ムスカリン作用を示し,その作用はオキシブチニンとほぼ同等もしくはやや強いと推察された.また,DEOBはオキシブチニンの治療効果に重要な役割を果たしていると考えられた.
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© 2004 公益社団法人 日本薬理学会
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