日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規糖尿病治療薬,インスリンリスプロ混合製剤(ヒューマログ®ミックス25注,ヒューマログ®ミックス50注)および中間型インスリンリスプロ(ヒューマログ®N注)の製剤開発と臨床成績
阿波 隆夫中田 哲誌繁田 浩史
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2005 年 126 巻 2 号 p. 143-151

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抄録

インスリンリスプロ混合製剤(リスプロ混合製剤)は,リスプロと中間型インスリンリスプロを異なる割合で含有する混合製剤である.世界中で最も使用されているヒトインスリン混合製剤30/70を参考に,より生理的なインスリン分泌を補充する目的で開発された.リスプロ混合製剤は,投与後速やかな血清中インスリン濃度の上昇が認められ,これら製剤のTmaxの平均値は50.0~52.5分で,インスリンリスプロと同様に迅速な皮下からの吸収特性が示された.また,Cmaxおよび投与後5時間までのAUC(AUC0-5)は,各製剤のインスリンリスプロの混合比率に相関して増加した.さらに,国内で1型および2型糖尿病を対象とした第III相試験において,ヒューマログミックス25注およびヒューマログミックス50注は,各々ヒトインスリン混合製剤30/70およびヒトインスリン混合製剤50/50からの切り替えで,用量を増加させることなく,12週後の朝食後2時間の血糖値を改善させた.また,低血糖発現頻度を上げることなく,HbA1c値を改善させた.さらに,糖尿病患者のQOLや食直前投与が可能であることから,注射タイミングの遵守度や糖尿病患者のQOLも向上し,ヒトインスリン製剤を凌駕できる薬剤であると考えられた.超速効型インスリンから持効型溶解インスリンに加えてリスプロ混合製剤が登場したことは,病態や糖尿病患者一人一人のライフスタイルに合わせて,より生理的な血糖コントロールに近づけるための臨床医の選択枝が増えたことを意味する.また,このことは,合併症の予防および進展の阻止という糖尿病治療の最終的な目標達成ためのオーダーメイド治療に向かって一歩前進したといえる.

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© 2005 公益社団法人 日本薬理学会
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