日本薬理学雑誌
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特集:ストレスの評価法と戦略
不安・強迫性障害モデルとしてのマウスのガラス玉覆い隠し行動(marble-burying behavior)
今西 泰一郎吉田 晶子奥野 昌代平沼 豊一
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2005 年 126 巻 2 号 p. 94-98

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抄録

マウスのガラス玉覆い隠し行動(marble-burying behavior)は,敷き詰めた床敷(オガクズ)上に配したガラス玉をマウスが床敷内に埋めてしまう行動であり,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: SSRI)により行動抑制を伴うことなく抑制される.無害なガラス玉を床敷で覆い隠そうとするマウスの行動が不合理と認識しつつ繰り返される強迫性障害患者の強迫行為と見かけ上類似していること,SSRIがうつ病のみならず強迫性障害の治療薬としても有用であること,不安の代表的な動物モデルであるコンフリクト試験や高架式十字迷路試験ではSSRIは効果を示さないことから,ガラス玉覆い隠し行動は強迫性障害の動物モデルとして位置付けられつつある.反面,ガラス玉覆い隠し行動は,強迫性障害には無効とされているベンゾジアゼピン系やセロトニン5-HT1A受容体作動性の抗不安薬によっても抑制されることから,強迫性障害に対する治療効果のみを反映するモデルとは言い切れない側面を併せ持つ.ガラス玉覆い隠し行動に関連する研究は充分に行われているとはいえず,今後の研究課題の一つと考えられる.

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