日本薬理学雑誌
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特集:薬理学における痛み研究の新しい潮流
PAR-2と痛み
川畑 篤史
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2006 年 127 巻 3 号 p. 133-136

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抄録

Protease-activated receptor-2(PAR-2)は,トリプシン,トリプターゼなどの特定のセリンプロテアーゼの細胞への作用を媒介するGタンパク共役型受容体である.PAR-2は知覚神経C線維ニューロンに発現し,炎症性疼痛や熱痛覚過敏の発現に関与している.また,PAR-2は内臓痛の情報伝達・制御にも重要な役割を演じている.結腸内腔側に存在すると考えられるPAR-2の活性化により,遅発性の内臓痛覚過敏が誘起される.一方,PAR-2は膵臓では痛みに対して促進的な面と抑制的な面を併せ持つ.このように,PAR-2は痛みの情報伝達制御に関与する新たな生体内分子として,創薬の面からも興味がもたれている.

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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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