日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(7)統合失調症
最近の統合失調症モデル
山口 和政中谷 晶子村澤 寛泰藤村 京子巽 義美巽 壮生
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2006 年 128 巻 3 号 p. 169-172

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抄録
統合失調症は「神経発達障害仮説」が提唱されている.非競合的NMDA受容体拮抗薬であるフェンシクリジン(PCP)を新生児期投与したICRマウスとSDラットでは,イボテン酸の生後6日腹側海馬注入ラットモデルと同様に12日齢時の脳切片で前頭前皮質,中隔,視床および小脳で神経細胞とS-100陽性アストロサイトのアポトーシスの発現がみられた.また,rostral migratory stream中では増生した幹細胞でGLASTの発現がみられた.一方,新生児期にPCPを投与したマウスにD-cycloserineを皮下投与したときには上記の病理変化はみられなかった.新生児期PCP投与マウスでは4-6週齢の行動観察でPPIの障害,PCP投与運動亢進の抑制およびモーリス水迷路学習能の障害がみられた.以上,この統合失調症モデルの利用は統合失調症の病因の解明,セリンおよびグリシンをターゲットとした新規治療薬の開発の一助となることが期待される.
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© 2006 公益社団法人 日本薬理学会
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