日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(11)不眠症
不眠症薬物療法の臨床
田ヶ谷 浩邦
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キーワード: 不眠症, 睡眠薬, 服薬指導
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2007 年 129 巻 1 号 p. 42-46

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抄録

不眠はありふれた訴えであるが,その原因はさまざまで,睡眠薬以外の治療法が適切な不眠や,睡眠薬により悪化する睡眠障害があるため,薬物療法開始前に十分な鑑別が必要である.催眠作用をもつ薬物として,バルビツール酸系睡眠薬,非バルビツール系睡眠薬,ベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,抗ヒスタミン作用をもつ薬剤がある.慢性の非器質性不眠症に対して効果・安全性とも優れているのはベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬である.健忘,転倒などの副作用や常用量依存の防止のため,1)治療目標を控えめに設定する,2)少量を毎日服用する,3)エタノールと併用しない,4)患者の自己判断で用量を変更しない,など服薬指導を行う.不眠への不安・恐怖感を緩和し,不眠を悪化させる習慣を是正するため,「眠くないのに無理に布団の中で過ごさない」など認知行動療法の併用が有効である.

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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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