日本薬理学雑誌
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129 巻 , 1 号
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特集:動物実験指針
  • 大野 泰雄
    2007 年 129 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    動物実験に対する社会の関心の高まりに伴い,平成17年6月に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され,動物実験における3Rの原則を組み込まれた.また,文部科学省等の関連指針が改訂された.これらを考慮し,日本薬理学会は倫理的な動物実験を推進するために動物実験指針を作成した.本稿ではこれを紹介した.
  • 佐藤 公道
    2007 年 129 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    痛み(痛覚)に関する研究は,複雑であるが故に,他の感覚(視・聴・触・味・嗅)に比べて遅れている.生理的に重要な生体警告系の痛み以外の痛み(感覚と情動両面)はヒトのQOLを低下させる要因である.痛みを完全にコントロールする術を手に入れるために,動物実験は不可欠である.本稿では,痛みの定義,動物における神経因性疼痛を含む痛みの評価法と動物モデル,感覚としての痛みの成立機序について,筆者の独断と偏見を交えて概説し,さらに,研究が緒についたばかりである痛みに伴う負の情動と扁桃体の関連についての筆者らのデータを紹介する.
  • 松田 幸久
    2007 年 129 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    研究に使用される実験動物の福祉に対する社会的関心が高まっている.人類および動物の健康と福祉の増進のためには動物実験は不可欠ではあるが,実験動物が命あるものであることにかんがみ,1)動物を用いない方法を検討すること,2)実験に使用する動物の数を削減すること,3)実験動物が被る苦痛をできるだけ軽減することが求められている.このような状況の中で2005年6月に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され,上記1)~3)が取り入れられた.改正された法律は2006年6月1日に施行され,それにともない「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」も改正され,法律の施行と同時に告示された.しかし,法律,基準は実験動物の飼養保管に対する規制であり,動物実験にまでは踏み込んでいなかった.そのため文部科学省は「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」を告示し,各研究機関が機関内規程を作成し動物実験を自主的管理するように求めた.厚生労働省および農林水産省も同様の基本指針を告示した.文部科学省,厚生労働省の基本指針を受けて日本学術会議は,各研究機関が機関内規程を作成する際の参考となるような全国統一の動物実験ガイドライン(動物実験の適正な実施に向けたガイドライン)を作成した.ガイドラインは動物実験計画書の作成,審査に当たって実験処置により実験動物が被る苦痛の程度を評価すること,評価にあたっては苦痛分類の基準を使用することを求めたが,わが国には統一した苦痛分類はないため,SCAWの苦痛分類を参照するように記した.しかし,SCAWの苦痛分類は今から20年前に北米の科学者達により作られたものであり,そこに記述されている内容はわが国の現状とは異なるところも多い.そのため国立大学法人動物実験施設協議会は2004年にわが国の現状に則するようにSCAWの苦痛分類に関する解説を作成した.そのためSCAWの苦痛分類を参照する際にはSCAWの苦痛分類に関する解説も参照していただけるよう本特集においてその一部を紹介した.
  • 倉田 知光, 政本 多美子, 安原 一
    2007 年 129 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    昭和大学における動物実験計画書の審査は,平成14年より実施している.審査は定期審査として年2回(9月,3月),その他緊急を要する計画に関しては,毎月臨時審査として実施している.審査を行う委員は医学部より4名(基礎,臨床各2名),歯学部,薬学部,保健医療学部より各2名,動物実験施設教員2名,動物実験施設長および附属病院教員1名の計14名より構成されている.過去5年間の年間審査件数は概ね370件であった.計画書の記載内容は,申請者の所属等に関する項目,共同実験者,動物種,系統,使用数,飼育期間,飼育条件などの飼育担当者に対する事務的内容の他に動物種,系統選択の理由,使用動物数決定の根拠,代替法の有無,実験動物に対する倫理的配慮,実験計画,安楽死法などの実験動物に加える負荷・苦痛の具体的内容およびその軽減,除去方法などの24項目から成り立っている.計画の申請は全てメール添付のWordファイルにて行い動物実験施設に提出する.申請された計画書は,受付時に記載の不備・不足等の確認を行い,加筆訂正が必要な場合には直接申請者と連絡を取り,審査会議までに必要記載事項を整える.内容確認が終了した計画書は,全て電子媒体に記録し14名の委員に審査の2週間前までに配布している.審査会議においては,動物に加えられる負荷苦痛の程度,その除去軽減に関する配慮等が主に論議される.これまでの審査によって,使用動物数の削減,処置後の動物の観察期間の短縮,薬物処置量や採血量の減量等につい申請者に計画変更を指示した例も多数出ている.これまでの所,審査については大きな問題は起きていないが,審査委員に動物の専門家,獣医等が加わっていない点は今後十分に配慮する必要があると考える.
  • 黒澤 努
    2007 年 129 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    我が国では学問の自由,研究の自由が強調され,研究目的であれば,多少の違法行為ですら見逃されると勘違いする者も多い.とくにバイオメディカルサイエンスはこれまで国立大学主導で行われてきたこともあり,安全管理などの社会活動では極めて重要な課題も人事院規則の中で行われ,外部査察どころか罰則も適用されないことなどから放置されてきた.とくに動物実験では,動物実験反対運動家の主張にも一理あるようで,我が国ではいつでも,どこでも,誰でもが実験動物を飼育し,動物実験を行い得る体制が長い間続いた.しかし科学活動は極めて国際的な活動で,その方法論,公表のされ方には国境が存在しない.とくに科学的結果を国際的に比較するためには,試薬はもとより,使用する試験管,ピペットの品質までもが気になり,我が国独自のやり方などはずいぶん昔に姿を消した.しかし動物実験だけは,我が国の文化的背景などを考慮したせいか,欧米先進国と著しく違う方法でなされている.欧米で官の行政による監察を補完しているのが,国際実験動物施設認定協会(AAALAC International)である.1960年代に米国で誕生した第3者機関であるAAALACは設立後多くの米国医学系学会の支持を得て,発展し,ECが統合された際には国際的組織としてその活動の場を広げた.すでにアジアでも数カ国で10以上の研究所が認定され,世界的には700位の有力研究所が認定を受けている.しかし,我が国では安全性試験を請け負う民間会社が1社だけ本年認定を受けただけで,有力研究機関,大学で認定された所はまだない(注1).
治療薬シリーズ(11)不眠症
  • 寺尾 晶, 宮本 政臣
    2007 年 129 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    本稿では不眠症治療薬として日本で未発売の新薬および開発中の新薬候補化合物について,創薬ターゲット別にその特徴と海外での臨床開発状況を概説する.現在,不眠症治療薬の主流は,ゴールドスタンダードとして位置付けられているゾルピデムなどのGABA-A受容体をターゲットにした非ベンゾジアゼピン系誘導体である.それらは作用持続が短く入眠効果には優れるが睡眠維持作用はなく,種々の副作用を誘発することから,1)製剤面,2)サブタイプ選択性においてGABA-A受容体作動薬の更なる改良が進行中である.一方,従来の不眠症治療薬が鎮静型睡眠をもたらすのに対して,生理的睡眠を誘発する不眠症治療薬:ラメルテオンが武田薬品から昨年米国で発売されたが,この薬剤は3)メラトニンMT1/MT2受容体作動薬であり,新機序不眠症治療薬開発の筆頭に挙げる事ができよう.更にこれに続くものとして睡眠・覚醒調節に重要な神経伝達物質を創薬ターゲットとした4)ヒスタミンH1受容体拮抗薬/逆作動薬,5)セロトニン(5-HT)2A受容体拮抗薬/逆作動薬,6)オレキシン受容体拮抗薬があるが,現在いずれも活発な研究開発が進行中なため,今後の進展が注目される.
  • 田ヶ谷 浩邦
    2007 年 129 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    不眠はありふれた訴えであるが,その原因はさまざまで,睡眠薬以外の治療法が適切な不眠や,睡眠薬により悪化する睡眠障害があるため,薬物療法開始前に十分な鑑別が必要である.催眠作用をもつ薬物として,バルビツール酸系睡眠薬,非バルビツール系睡眠薬,ベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,抗ヒスタミン作用をもつ薬剤がある.慢性の非器質性不眠症に対して効果・安全性とも優れているのはベンゾジアゼピン系睡眠薬,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬である.健忘,転倒などの副作用や常用量依存の防止のため,1)治療目標を控えめに設定する,2)少量を毎日服用する,3)エタノールと併用しない,4)患者の自己判断で用量を変更しない,など服薬指導を行う.不眠への不安・恐怖感を緩和し,不眠を悪化させる習慣を是正するため,「眠くないのに無理に布団の中で過ごさない」など認知行動療法の併用が有効である.
創薬シリーズ(1)標的探索
  • 高山 喜好
    2007 年 129 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    近年,医薬品開発のあらゆるステージにおいてトランスクリプトームやゲノミクス手法を積極的に取り入れる,いわゆるゲノム創薬が国内外の製薬企業において潮流となっている.当初トランスクリプトームは,“High-throughput”な創薬標的探索の方法論と考えられていたが,現実にはこれに研究シーズをもとめたもので臨床開発まで至った事例は今だ少ない.一方トランスクリプトームによる疾患や生命現象の解明は,個々の遺伝子に還元して解析する手法に加えて,数十から数百個の遺伝子を巨視的な視点で解析する新たな手法を生み出した.またヒトゲノムプロジェクトにより明らかになった染色体上に点在する564万件以上のSNP(一塩基多型)情報は,生活習慣病などの多因子疾患の病因や薬物の有効性に関わる個体差をヒトで解析することを可能にしつつある.これらの情報の活用により,今後の医薬品開発の成功確率が高まると期待している.
  • 白井 宏樹, 小堀 正人
    2007 年 129 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/01/12
    ジャーナル フリー
    バイオインフォマティクスは,各種生物情報を情報科学的手法によって整理や解析をすることで,生物学上の重要な知見を抽出したり,またそれを促進させる研究分野である.様々な生物情報がフリーで入手可能な今日,バイオインフォマティクスは分子生物学研究や創薬において重要な役割を担っている.本稿では,創薬におけるバイオインフォマティクスの現状と問題点,および将来への展望を記述した.とくにバイオインフォマティクスによる仮説立案の役割について,研究2例を紹介し,その重要性と問題点を記述した.
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