日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(1)標的探索
ゲノム創薬の現状と今後の展望
高山 喜好
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2007 年 129 巻 1 号 p. 47-50

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抄録

近年,医薬品開発のあらゆるステージにおいてトランスクリプトームやゲノミクス手法を積極的に取り入れる,いわゆるゲノム創薬が国内外の製薬企業において潮流となっている.当初トランスクリプトームは,“High-throughput”な創薬標的探索の方法論と考えられていたが,現実にはこれに研究シーズをもとめたもので臨床開発まで至った事例は今だ少ない.一方トランスクリプトームによる疾患や生命現象の解明は,個々の遺伝子に還元して解析する手法に加えて,数十から数百個の遺伝子を巨視的な視点で解析する新たな手法を生み出した.またヒトゲノムプロジェクトにより明らかになった染色体上に点在する564万件以上のSNP(一塩基多型)情報は,生活習慣病などの多因子疾患の病因や薬物の有効性に関わる個体差をヒトで解析することを可能にしつつある.これらの情報の活用により,今後の医薬品開発の成功確率が高まると期待している.

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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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