抄録
ヒトゲノムの解析が終了した後,ポストゲノム研究の中心として,プロテオミクス研究が急速に発展を遂げてきた.このプロテオミクスの発展は,微量タンパク質の測定を可能にした質量分析技術の進歩によるところが大きい.病態サンプルなどの生体中のタンパク質の変化を捉えることにより,生命現象の仕組みを知るための多くの情報を提供してきた.そういった複雑な生体システムの中から,創薬のターゲットとなる創薬標的分子を見つけだす方法として,低分子化合物を利用して生物の仕組みを解明するケミカルバイオロジーの応用が注目されている.特に,低分子化合物をプローブとするAffinity Chromatography法は,低分子医薬品の開発に直接繋がるものとして,今後さらに発展してゆくものと考えている.