ストレス応答機構の破綻は様々な疾患の発症原因となるが,多様な環境ストレスに対するセンサーの実体ならびにシグナル伝達機構については不明な点が多い.我々は,ストレス応答性MAPキナーゼタンパク質群の解析を通じて,ストレスの受容・認識ならびにシグナル伝達機構を解明しようとしている.特にASKファミリーの解析を軸として,他のMAP3Kファミリー分子群についてもその結合タンパク質解析を行い,酸化ストレス,浸透圧ストレス,小胞体ストレス,細菌感染等に対する新たなストレス応答機構が徐々に解明されつつある.またこれらのシグナル系が,炎症,がん,神経変性などの発症に深く関与することも明らかになり,ストレス応答研究の成果が全く新しい創薬基盤の開発へと発展しつつある.