日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
イトラコナゾール内用液(イトリゾール®内用液1%)の薬理学的および薬物動態学的特徴ならびに臨床試験成績
大谷 尚也井上 晃一塩田 哲弘鈴木 康正野村 俊治原田 寧石橋 弘子安部 茂内田 勝久山口 英世鳥居 慎一
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2007 年 130 巻 1 号 p. 69-76

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抄録

イトラコナゾール(ITCZ)は病原真菌に対して広範囲かつ強力な抗真菌活性を示すトリアゾール系の抗真菌薬であり,本邦では既にカプセル剤(ITCZ-Cap)が種々の表在性真菌症,深在性真菌症を適応症として承認され,広く使用されている.脂溶性が高いITCZは水への溶解性が不良なことから,その吸収には大きな個体差が認められる.この問題点を改善するため,溶解補助剤であるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)を添加してITCZを可溶化することによりその吸収性を改善/安定化させた新規製剤が開発された.これがITCZ内用液(ITCZ-OS)であり,口腔咽頭カンジダ症および食道カンジダ症の治療薬として承認された.Postantifungal effect(PAFE)に関するin vitro試験では,ITCZを培養液から除去した後も比較的長時間にわたって抗真菌作用が持続し(良好なPAFE),しかもこの効果に薬剤曝露時間は影響しなかった.またin vivo試験で,ITCZ-OSはカンジダ症マウスモデルにおいて0.8 mg/kg/日以上の投与で用量に依存した改善効果を示した.このITCZ-OSの抗真菌効果は,胃内投与よりも口腔内投与のほうが優れていた.以上の結果から,ITCZ-OSの優れた治療効果は腸管から吸収された後の全身循環を介した患部組織への到達によって発揮する抗真菌効果に,患部への直接接触による局所的抗真菌効果が加わったためであることが示唆された.ヒトにITCZ-OSを投与する場合,空腹時投与のほうが食直後投与よりもITCZおよび主要活性代謝物のヒドロキシイトラコナゾール(OH-ITCZ)ともにCmaxおよびAUC0-∞は上昇し,tmaxは短縮した.こうしたITCZ-OSの薬物動態はオメプラゾールの併用投与による影響を受けなかった.HIV患者にITCZ-OSを経口投与すると,投与8時間後においても唾液中にITCZが検出された.口腔咽頭カンジダ症患者に対する臨床試験において,ITCZ-OSはITCZ-Capを上回る治癒効果または著明な改善効果を発揮し,投与早期から病変部の真菌を減少または消失させた.また,ITCZ-OSは口腔咽頭カンジダ症および食道カンジダ症に対して,フルコナゾール(FLCZ)と同等の治療効果を示した.

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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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