日本薬理学雑誌
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特集:行動薬理学入門
疼痛行動の評価法
成田 年鈴木 勉
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2007 年 130 巻 2 号 p. 124-127

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抄録

疼痛と鎮痛の基礎実験では,主に生理的疼痛,炎症性疼痛,神経障害性疼痛に対する動物モデルが用いられている.一般に,リウマチに代表される慢性疼痛である炎症性疼痛は,炎症局所の浮腫あるいは痛覚過敏反応(軽い痛み刺激をより強い痛み刺激と感じる症状)などの症状により特徴づけられており,これら炎症性疼痛モデルは,起炎物質である完全フロイントアジュバンド(complete Freund's aduvant:CFA),ホルマリンおよびカラゲニンの足蹠皮下投与により作製される.一方,神経障害性疼痛は,末梢あるいは中枢神経の損傷や機能障害により引き起こされると考えられており,主に自発痛,痛覚過敏反応やアロディニア(軽く触れた程度の触刺激によっても痛みが誘発される症状)といった症状が認められる.現在までにこれら神経障害性疼痛に対し,末梢神経の結紮などによる様々な動物モデルが確立されている.本稿では,炎症性疼痛モデルならびに神経障害性疼痛さらにはその評価法について簡潔に紹介する.

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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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