日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
パーキンソン病治療薬ロピニロール塩酸塩(レキップ®錠)の薬理作用と臨床効果
新井 裕幸南 順子
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2007 年 130 巻 4 号 p. 313-319

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抄録
ロピニロール塩酸塩(以下,ロピニロール)は非麦角系ドパミン受容体アゴニストであり,D2受容体ファミリー(D2,D3,D4)に高い選択性を示す.ロピニロールはマーモセットの1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)誘発運動障害に対して改善作用を示し,その作用は反復投与により減弱しなかった.また,中脳腹側被蓋野を破壊したサルの振戦を速やかに抑制し,抗パーキンソン病作用を有することが示された.ロピニロールはin vitroおよびin vivoの両実験系で神経保護作用を有することが示唆され,種々の動物試験において抗不安作用および抗うつ作用を有することも報告されている.UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartII(日常生活動作;ADL)およびPartIII(運動能力検査)を用いて評価された臨床試験において,早期および進行期のパーキンソン病患者に対する有用性が示され,早期パーキンソン病患者において,ロピニロールで治療を開始することにより,レボドパで治療を開始した場合に比べ,ジスキネジアの発現を遅延および減少させ,さらにロピニロール群はレボドパ群と同等のADL改善効果を5年間維持することが示されている.さらに進行期パーキンソン病患者においては,国内外の臨床試験でoff時間の短縮効果が認められている.以上より,ロピニロールは有用な新規抗パーキンソン病薬となり得るものと考えられる.
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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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