日本薬理学雑誌
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治療薬シリーズ(20)慢性動脈閉塞症
慢性動脈閉塞症の治療薬
─現状と今後の治療薬に期待すること─
蜂谷 貴
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2007 年 130 巻 5 号 p. 398-401

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抄録
近年の高齢化,生活様式の欧米化により閉塞性動脈硬化症(ASO)は増加の一途である.ASOは動脈硬化性変化に由来する狭窄・閉塞により四肢末梢の循環障害から虚血症状をきたす疾患である.臨床症状はFontaine分類で表わされI度無症状,II度間歇性跛行,III度安静時痛,IV度潰瘍・壊死であり,II度の間歇性跛行を主訴とするものが全体の8割ほどである.これら症例の増加に伴い治療指針が必要となり,2007年TASCIIが発表され,現在日常診療に利用されている.本邦で現在使用可能な薬剤はFontaineIIIIV度を対象として開発されてきたため,重症虚血肢への効能は確認されているものの,その他の症状には効果が確認されていない.TASCIIでは間歇性跛行への薬物療法が推奨されており,今後本邦においても間歇性跛行への効能・効果をもった薬剤の出現が期待される.
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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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