抄録
近年の高齢化,生活様式の欧米化により閉塞性動脈硬化症(ASO)は増加の一途である.ASOは動脈硬化性変化に由来する狭窄・閉塞により四肢末梢の循環障害から虚血症状をきたす疾患である.臨床症状はFontaine分類で表わされI度無症状,II度間歇性跛行,III度安静時痛,IV度潰瘍・壊死であり,II度の間歇性跛行を主訴とするものが全体の8割ほどである.これら症例の増加に伴い治療指針が必要となり,2007年TASCIIが発表され,現在日常診療に利用されている.本邦で現在使用可能な薬剤はFontaineIIIIV度を対象として開発されてきたため,重症虚血肢への効能は確認されているものの,その他の症状には効果が確認されていない.TASCIIでは間歇性跛行への薬物療法が推奨されており,今後本邦においても間歇性跛行への効能・効果をもった薬剤の出現が期待される.