2008 年 131 巻 4 号 p. 275-280
パーキンソン病治療薬の主流は,ゴールドスタンダードと位置づけられるレボドパやドパミン作動薬を中心としたドパミン受容体の活性化をもたらす薬剤である.それらは明瞭な症候治療効果を有するが,種々の副作用や長期使用による様々な問題を呈することも知られ,本疾患の経過を通じ薬物療法上の大きな問題になっている.この問題を解決するため,近年,ドパミン受容体とは異なる非ドパミン性の受容体を標的とすることが提案され,いくつかの化合物が臨床開発に入っている.本稿では前者をドパミン性アプローチ,後者を非ドパミン性アプローチと大別し,非ドパミン性アプローチを中心に代表的な化合物を紹介する.また神経変性疾患であるパーキンソン病の根本治療のため,神経保護作用へのアプローチとして様々な創薬標的が提案されている.これらについても概説し,併せて探索評価のための動物モデルにも言及し,本領域の今後の研究課題を展望した.