2008 年 131 巻 4 号 p. 281-284
パーキンソン病(PD)は大脳黒質ドパミンニューロンの変性により振戦,無動,固縮,姿勢調節障害を主体とする,アルツハイマー病に次いで多い神経変性疾患である.抗PD薬はドパミン前駆物質であるL-dopaを始めドパミン受容体刺激薬,MAO阻害薬,COMT阻害薬等多数開発されているが,現時点ではL-dopaをしのぐ薬剤はない.L-dopaは効果が高く,副作用は少なく廉価で極めて優れた薬剤であるが,半減期が短いのが最大の欠点である.PD治療においては現存の薬剤で初期には良好な効果を得られるが,長期治療中には効果持続時間の短縮によりwearing-off現象や不随意運動,精神症状などの問題点が出現してくる.今後期待される薬剤としては,半減期の長いL-dopa製剤,振戦,すくみ,姿勢調節障害に効果の高い薬剤,さらに,細胞変性を50%程度で維持できる神経保護薬の開発が強く望まれる.