日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(3)その3 化合物を医薬品にするために必要な安全性試験
皮膚毒性
義澤 克彦
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キーワード: 皮膚毒性, 医薬品, 毒性試験
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2008 年 131 巻 4 号 p. 285-290

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抄録

皮膚は体の中の最大の器官であり,常に化学物質や環境物質など外界からの刺激に暴露されている.皮膚毒性はその発現機序により,皮膚に触れておこる傷害である接触性皮膚炎(刺激性皮膚炎,アレルギー性接触性皮膚炎,化学熱傷),紫外線との複合作用により引き起こされる光過敏症(光毒性皮膚炎,光アレルギー性接触性皮膚炎),接触性蕁麻疹,化学挫瘡,色素沈着異常,薬疹,毛の異常,爪の異常,腫瘍に大別され,本総説では皮膚の機能・構造およびこれら皮膚毒性の特徴について概説した.近年,特定の分子・遺伝子を標的とする医薬品やナノテクノロジーを利用した医薬品開発が進歩し,新規医薬品の新たなメカニズムによる毒性発現が懸念され,ここで述べた基本的な毒性変化を理解しておくことが重要であろう.
 我々は日常生活の中で化学物質や環境物質など外界からの刺激に常に暴露されており,様々な皮膚の症状を経験する.「化合物を医薬品にするために必要な安全性試験」シリーズの本稿では,1)皮膚の機能・構造,2)医薬品・化学物質による皮膚毒性の特徴について,自験例を含めて解説する.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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