日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規持効型溶解インスリンアナログ注射製剤インスリン デテミル(レベミル®)の薬理学的特徴および臨床試験成績
片山 泰之井上 明弘堀籠 博亮
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2008 年 132 巻 3 号 p. 181-188

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抄録

インスリン デテミル(遺伝子組換え)(販売名:レベミル®注300フレックスペン®,レベミル®注300,以下「デテミル」)は,脂肪鎖を付加しアルブミンとの結合を利用することにより,作用の持続化を図った新規持効型溶解インスリンアナログ注射製剤である.非臨床試験では,デテミルはヒトインスリンの分子薬理学的作用を有することが示された.また,NPH(neutral protamine Hagedorn)ヒトインスリン(以下「NPH」)よりも緩徐で持効型の薬理作用を有することが示唆された.デテミルとヒトインスリンの代謝パターンは類似していると考えられ,ヒトインスリンとデテミルの間に安全性に影響するような差異は認められなかった.臨床試験では,デテミルは,NPHと比較して,よりピークが少なく,より長時間(24時間)に渡り効果が持続することが確認された.国内における第III相臨床試験は,1型および2型糖尿病患者を対象としたBasal-Bolus療法,小児1型糖尿病患者を対象としたBasal-Bolus療法,2型糖尿病患者を対象とした経口血糖降下剤との1日1回併用治療の3試験が実施され,NPHに対する非劣性,空腹時血糖の低下,空腹時血糖値の個体内変動の減少,夜間低血糖の減少といった特徴が認められた.さらに,既存のインスリン治療では得られない体重増加抑制効果が認められたため,大いに臨床的メリットが期待される新規インスリンアナログ製剤である.

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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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