日本薬理学雑誌
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総 説
創薬の探索段階における薬剤学的研究の意義と実践
真野 高司
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2009 年 133 巻 3 号 p. 149-153

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抄録

新薬の物性測定,結晶スクリーニング,製剤技術の応用といった薬剤学的検討は,吸収性・薬物動態・製造性・安定性に大きな影響を与える.創薬研究を効率よく行うには,探索段階のステージに応じた,脂溶性・酸塩基解離定数・溶解度・溶解速度測定などの分子物性測定,結晶化・塩・結晶多形のスクリーニング,製剤技術の応用といった項目を実施することが重要である.また,それぞれの項目について科学的理解と最新の技術(テクノロジー)の把握,さらに創薬研究への応用についての正しい戦術策定があってこそ,新規スクリーニングの開発と導入,適切なプロジェクトへの応用といった意味のある研究が可能になる.それらを可能にするには科学技術・プロジェクトチーム両面から見た人材育成も必要であり,そのためにはマネージメントも大きな役割を果たす.探索段階における薬剤学的研究の意義とファイザー株式会社中央研究所(愛知県)における実践例を紹介する.

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© 2009 公益社団法人 日本薬理学会
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