日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(3) その3 化合物を医薬品にするために必要な安全性試験
腎毒性の評価法
山田 久陽
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2009 年 133 巻 3 号 p. 154-157

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抄録

腎臓は,組織の“不均一性”が高く,薬物により腎臓のさまざまな部位が障害される.障害部位の特定を含めた腎毒性の評価は,ラットを用いた一般毒性試験においても検査項目を充実させることにより可能である.特に尿検査は,鋭敏で動物に負荷を与えない非侵襲的な検査として汎用される.糸球体障害の検出には,通常濾過されない血中高分子タンパクおよびアルブミンなどが有用である.近位尿細管障害には,同部位に局在するNAG,γ-GTP,α-GSTなどの酵素やKIM-1およびclusterinなどの局在タンパク,同部位で再吸収されるβ2-microglobulinなどの低分子タンパク,さらに,遠位尿細管障害ではμ-GSTなどの局在タンパクの測定が有用である.腎毒性の評価には,各部位のマーカーを2種以上選定して,その変化を経日的に解析し,最終的には腎臓の病理組織学的所見を加味して総合的に変化の程度や部位を判定すべきである.

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© 2009 公益社団法人 日本薬理学会
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