抄録
消化管の蠕動運動は,カハール介在細胞,壁内神経叢,消化管平滑筋細胞の相互作用により制御されており,様々な原因でひとたび消化管に炎症が生じると,これらの相互作用に異常が生じて消化管の蠕動運動は抑制される.消化管壁には多数のマクロファージが常在しているが,近年,この常在型マクロファージと単球由来の滲出性マクロファージが腸炎時の消化管運動抑制を生じる実行細胞であることがわかってきた.さらに,この筋層部マクロファージの細胞膜上に発現しているα7nicotinic acethylcholin receptorを介したコリン作動性抗炎症応答機構が存在することがわかり注目されている.