日本薬理学雑誌
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特集:TRPチャネルタンパク質の新たな機能と病態生理
循環器・呼吸器疾患におけるTRPチャネルの役割
渡邊 博之
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2009 年 134 巻 3 号 p. 127-130

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抄録

近年,心血管系・呼吸器系組織においても,多くのTRPチャネルの発現が確認され,その機能的役割が徐々に明らかとなってきている.病態との関連では,TRPCチャネルを介したCa2+流入が心肥大形成に重要であること,血管炎症にともなったTRPC1発現増加がその後の血管リモデリングに促進的に働くこと,種々の内皮依存性血管拡張反応において内皮TRPV4がバイオセンサーとしてCa2+流入経路として働くこと,咳嗽反射の神経伝達にTRPV1活性化が関与していることなど,多くの知見が明らかとなっている.将来的にTRPチャネル修飾薬は,循環器・呼吸器疾患の治療薬として登場してくる可能性を秘めている.

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© 2009 公益社団法人 日本薬理学会
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