日本薬理学雑誌
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総説
ヒト組織におけるヒスタミンH4受容体発現と臨床的意義
山浦 克典鈴木 昌彦並木 隆雄上野 光一
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2010 年 135 巻 6 号 p. 235-239

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抄録

2000年に新規同定されたヒスタミンH4受容体は,主に免疫系細胞に発現し免疫反応への関与が示唆されている.我々は関節リウマチ患者の関節滑膜に着目し,マクロファージ様および線維芽細胞様滑膜細胞いずれにもH4受容体が発現していることを確認した.次に,表皮および真皮のH4受容体発現を検討し,表皮においてはケラチノサイトが分化に伴いH4受容体の発現を増強することを,また真皮においては真皮線維芽細胞にH4受容体が発現することを確認した.さらに,皮膚に発現するH4受容体の役割として掻痒反応への関与が示唆されているため,サブスタンスPによるマウス掻痒反応において,H4受容体遮断薬が抗掻痒作用を示すことを確認した.サブスタンスPにより誘発する掻痒反応では,マスト細胞の関与は小さいこと,ケラチノサイトが反応に重要な役割を果たすとされることから,ケラチノサイトに発現するH4受容体を介する掻痒反応機構の存在が示唆された.

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