薬剤疫学
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総説
リアルワールドデータを用いた海外の研究事例を踏まえた,日本での製造販売後データベース調査実践における提言
松田 真一深田 信幸大石 昌仁岡 宏明原 良介小島 愛中野 駿元吉 克明五十嵐 繁樹佐々木 裕子亀山 菜つ子窪田 和寛
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2021 年 26 巻 1 号 p. 41-54

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抄録

保険請求データベース(DB)や電子カルテ DB 等,日常診療の情報が記録されたリアルワールドデータ(real-world data:RWD)は,薬剤疫学研究における重要なデータ源の一つである.日本において,2018年4月より製造販売後調査の新たなカテゴリーとして,医薬品の製造販売後データベース(製販後 DB)調査が追加された.以降,医薬品リスク管理計画(risk management plan:RMP)において製販後 DB 調査が計画され,製販後 DB 調査の実践が期待されているが,現時点で結果公表まで至ったものはほとんどない.一方,海外においては RWD を用いた DB 研究成果は現時点で多数報告されている.海外と日本では,DB 自体の特性(項目・構造等)の違い,医療環境・慣習の違い等を念頭におく必要はあるが,そのような前提を踏まえて海外 DB 調査論文を精読し,研究仮説,研究デザイン,手法等を吟味することは,日本における製販後 DB 調査の計画・実行・結果の解釈を実践するうえで参考価値があると考えた.本報告の目的は,海外 DB 調査論文の批判的吟味を通じて,DB 調査の特徴や注意点を考察すること,そして,日本における製販後DB 調査の実践に役立つ提言を行うことである.

本稿が,今後の製販後 DB 調査を計画・実施するうえでの一助になれば幸いである.

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© 2021 日本薬剤疫学会
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