日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
総説
一酸化窒素(NO)による7回膜貫通型受容体の制御とその気管支喘息の病態における関与の可能性
小澤 健太郎
著者情報
キーワード: GPCR, NO, 気管支喘息, 翻訳後修飾
ジャーナル フリー

2010 年 136 巻 2 号 p. 98-102

詳細
抄録
一酸化窒素(NO)は血管平滑筋弛緩以外にも多くの生理活性があり,最近その分子的メカニズムとしてNOによるシステインのチオール基の修飾が注目されている.気管支喘息においてもS-ニトロシル化の関与が報告され,その分子メカニズムとしてアドレナリンβ受容体の脱感作抑制の可能性が示唆された.今回我々はS-ニトロシル化によるアドレナリンβ受容体の制御の機構としてGRK,β-アレスチン,ダイナミンの3つのタンパク質を使って一連の研究を行い,この3つのタンパク質がS-ニトロシル化され,S-ニトロシル化によりタンパク質の機能が制御され,その結果としてS-ニトロシル化がβ受容体の機能を制御していることを示した.この3つのタンパク質のS-ニトロシル化が生理的/病理的意義,特に気管支喘息において発症に関与するかどうかは,動物実験などによりさらに詳しく検討する必要がある.
著者関連情報
© 2010 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top